ラボクイズ
1月号の解答と解説
大家 辰彦
1
,
犀川 哲典
1
1大分医科大学臨床検査医学講座
pp.119
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100581
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【問題1】 解答:④
【問題2】 解答:⑤
問題の図1の心電図は,右脚ブロック様QRS波形と右側胸部誘導で特徴的なST上昇を伴うBrugada症候群に典型的な心電図である.
肺梗塞も失神をきたすため,意識消失発作における鑑別疾患として挙げられる.心電図所見としては右室負荷所見に伴う,上方電気軸偏位,S1Q3,右脚ブロック,右室肥大,低電位等が知られているが,これらQRS波形の変化は20%前後とその発現頻度はあまり高くない.このほかV1誘導を除く右側胸部誘導での陰性T波も半数程度にみられる.急性心筋梗塞では閉塞冠動脈領域に一致した誘導でのST上昇および対側のST低下が確認される.その後T波の陰転化(冠性T波),異常Q波が出現する,一連の経時的変化が認められる.本例での心電図ST上昇は心筋梗塞時と明らかに異なっており,対側のST低下もない.急性心筋炎では冠動脈領域とは無関係のST上昇をきたすほか,各種伝導障害も認められる.一般的に急性心筋炎では病歴上先行感染が認められ,最終的には冠動脈造影検査および心筋生検で確定される.QT延長症候群は心電図上著明なST部分の延長が認められ,多形性心室頻拍を生じる遺伝性疾患である.本例の心電図では明らかなQT延長は認められず,本疾患は否定的である.
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