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はじめに
糖尿病はインスリン作用の不足による慢性高血糖を主徴とし,特有の合併症を引き起こし大血管症など全身に障害をもたらす疾病である.1999年に日本糖尿病学会は糖尿病の新たな分類を発表し,(1)1型糖尿病,(2)2型糖尿病,(3)そのほかの特定の機序,疾患によるもの,(4)妊娠糖尿病とした.1型糖尿病は膵β細胞破壊を特徴とし,2型糖尿病はインスリンの分泌低下と感受性低下(抵抗性の増大)の両者が発症にかかわると定義されている.インスリン抵抗性は2型糖尿病にみられる病態を特徴とし,高脂血症,高血圧症などと密接に関連している.インスリン抵抗性を表す指標には75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT),グルコースクランプ法,SSPG(steady-state plasma glucose)法,ミニマルモデル法などいくつかあり,それぞれ長所・短所を有している.Matthewsら1)が提唱したhomeostasis model assessment(HOMA)は糖の許容力をFPG(fast-ing plasma glucose,空腹時血糖値)とFIRI(fast-ing insulin resistance index,空腹時インスリン値)の積で示し,その標準分子量との比をindex化したもので,HOMA-Rと呼ばれ,実用的に優れた指標として注目されてきた.一方,血糖コントロールの指標として従前よりFPG,食後血糖値,HbA1c値,1,5AG値などいくつかの検査とその組み合わせが用いられているが,最近ではグリコアルブミン(GA)が注目されている.アルブミンはヘモグロビンに比し半減期が短く,糖化物であるGAも細胞内糖化物のHbA1cより明らかに短い.血糖コントロールの短期指標としてGAの有用性が再評価されている.
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