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【問題1】 解答:①,【問題2】 解答:③
解説:副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone,PTH)は骨吸収(骨破壊)を促進して骨よりCaとPとを動員し,腎遠位尿細管からのCa再吸収を促進して,血清Ca値を上昇させる.同時に腎尿細管でのPとHCO3-との再吸収を抑制して血清P値の低下と代謝性アシドーシス(高Cl血症性)とをきたす.また,PTHは近位尿細管の1α水酸化酵素を活性化し,活性型ビタミンDを産生して消化管からのCaとPとの吸収を促進する.血清Caの約50%は主にアルブミンなどの蛋白質と結合しているため,低アルブミン血症が存在する場合は,生理活性を有するイオン化Ca値が正常であっても,総血清Ca値は見かけ上低下する.このため,アルブミン値が4.0g/dl以下の場合,補正Ca値(mg/dl)=実測Ca値(mg/dl)+{4-血清アルブミン値(g/dl)}で評価する.(補正)血清Ca値は,ほぼ8.5~10.4mg/dlの範囲にコントロールされており,10.5mg/dl以上を高Ca血症とする.表に高Ca血症をきたす主な疾患を示す.
高Ca血症の約90%が原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism,PHP)もしくは悪性腫瘍に伴う高Ca血症(malignancy-associated hypercalcemia,MAH)である.PHPは外来患者に多く,MAHは既に悪性腫瘍と診断されている入院患者の経過中に発見されることが多い.PHPは副甲状腺のPTH分泌過剰により高Ca血症,低P血症,活性型ビタミンD高値を呈する.PHP以外の高Ca血症では,PTHは抑制され低値となる.
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