技術解説
ウイルス性疾患の臨床検査(1)
中村 正夫
1
,
西内 道明
1
1国立東京第一病院研究検査科
pp.721-726
発行日 1968年10月15日
Published Date 1968/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916492
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はじめに
わが国においても,最近,臨床ウイルス検査は著しく進歩したが,病院などで一般臨床検査として行なうには,なお多くの問題点が残されている。このことについては,のちにまた述べたいと思うが,一方では,ウイルス検査方法の進歩が,これらの障害をすこしずつ解決しつつあり,その重要性は今後さらに増すことと思われる。
ウイルス性疾患には,特徴のある症状を現わすために,臨床的診断が容易なものもあるが,無菌性髄膜炎,感冒様疾患,ある種の発疹性疾患など,ウイルス検査によってはじめてその原因が明らかになるものも多い。現在,ウイルス検査は一般に早期診断がむずかしく,また,化学療法その他特別の治療法を行なえないものが多いので,その結果が直接患者に利用されることが少ない。このような理由で,その意義は一般ルーチン検査とはやや異なっている面がある。しかし病因を明らかにすることは臨床医学の進歩のためのみならず,疫学・予防医学方面にもきわめて重要なことであり,ウィルス検査の必要性もそれだけ大きいと考える。
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