特集 成人病検査
一般検査
猪狩 淳
1
1順大臨床病理
pp.632-637
発行日 1968年9月15日
Published Date 1968/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916468
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はじめに
"成人病"といえば,20歳以後の青年期から壮年期にかけて起こる病気,というふうに理解されがちであるが,一般に老年病のことをいうと考えてよいと思う。もちろん成人病と老年病を同一と考えることに異論を持たれる方もあるかもしれないが,老年病といわれる脳卒中,癌,動脈硬化,高血圧,心臓病,糖尿病などはあらゆる年代にみられ,ことに40歳代,50歳代に多く,成人期・老年期の生理的加齢にともなう疾患を対象としている面ではほとんど同一概念と考えることができよう。厚生省はこれらの疾患が40歳前後から60歳代の働き盛りの人々を長期にわたり労働不能におとしいれ,個人的にも社会的にも損失をもたらしているとし,これらの疾患を成人病と呼び,現在,一般に広くもちいられるようになった。
また,これら成人病は近年の死亡統計上,死亡順位の上位を占めており,"成人病"の問題が重要視され,各地で"人間ドック"なる成人病を対象とした精密検診が行なわれている。"人間ドック"とは,特に苦痛を訴えないが自分の健康に疑念を持つ人,あるいは自分の健康には自信があるが,これからも元気で健康な生活を続けたいので身体に異常のないことを確かめたいという人に対して,精密な身体検査を総合的に行なうことをいう。
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