組織と病変の見方—肉眼像と組織像の対比
病理学総論(その3)
金子 仁
1
1日本医大・老人病研究所基礎部
pp.1349
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908768
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腫瘍
1.腫瘍の定義
細胞の自律的増殖を腫瘍と呼ぶ.自律的とは自分勝手という意味である.たとえば,手や足にケガをして欠損部ができたとすると,その反応として上皮性細胞や非上皮性細胞が増殖し欠損部を埋めてくれる.十分に欠損部を満たしたらもはや増殖しない.また,文筆家によくペンダコができるが,常にペンを持っていると最もよく当たる部分の扁平上皮が増殖する.これは当たる部分をカバーする目的で増殖したもので,ペンを捨てればもはや増殖しない.このように手足のケガを修復したり,カバーする意味で増殖するのは合目的増殖とか,反応性増殖とか呼んで腫瘍性増殖とは厳重に区別している.
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