Senior Course 血清
ウイルスの血清学的検査
中村 正夫
1
1国立東京第一病院研究検査科
pp.116-117
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908418
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ウイルス性疾患の実験室内診断法,特に血清学的検査
一般に行われているウイルス性疾患の実験室内診断法としては,1)ウイルス分離,2)血清学的診断,3)形態学的診断,封入体の検索,電顕による形態学的観察も応用されつつあり,螢光抗体法も利用価値が高い.4)皮内反応その他の方法が用いられている.ここではこれらのうち,血清学的診断について述べたいと思う.
血清学的検査としておもに用いられているのは,補体結合(CF)反応,赤血球凝集抑制(HI)反応および中和試験(NT)である.その他,凝集反応,沈降反応,免疫吸着反応,ラジオアイソトープ沈降反応,感作血球凝集反応および螢光抗体法などが応用される場合もある.CFは最も広く用いられ,使用器具としても,梅毒血清反応のCFが実施できるところならば行いうる.しかし,血清学的に多くの形があり,類属反応を示す場合,また血清診断をするために多くの抗原を必要とする場合などには実用的価値は少なくなる.HIは赤血球凝集能を有するウイルスについて行いうるものであるから,その応用にも限界がある.NTは大部分のウイルスについて行いうるが,そのためには感受性動物,発育鶏卵または組織培養を必要とし,手間と費用の点からも一般臨床検査として利用しがたい場合も多い.
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