技術解説
血液検査法(Ⅰ)—基本操作
天木 一太
1
1国立東京第一病院研究検査科
pp.483-487
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905407
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血液の形態学に関する検査は,他の分野の検査,例えば生化学検査法等とはかなり異なつた点があつて,之を正しく行うためには特殊の知識と操作が必要であり,一寸した不注意から大きな誤差の生ずることもしばしばである。血液検査法に関する書物は既に少くないが,現在この仕事にたずさわつている人々を対称にして,一層正確なデータを得るために役立ちそうな点につき述べてみたいと思う。
血液を扱うに当つて先ず第一に血液が溶液ではなく,各種の細胞と血漿よりなる懸濁液であることを常に忘れてはならない。そして各細胞は各々異なつた比重,粘着力,表面張力,崩壊性を有しており,更に凝血,溶血並に細胞の遊走等という性質もある。これらの事実を正しく理解していることが正しい検査を行う上に是非必要なことである。又形態学的検査に限つたことではないが,自分の行いつつある検査が如何なる意味を有しているか,その操作のうちにどの様な現象が進んでいるかか理解していることも大切なことである。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.