主張
医師いう資格
S
pp.703
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901290
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日本の社会は諸外国に比べ,社会的にも,経済的にも多くの点で人間同志の格差が小さい国であると言える.これは,歴史的にみても,特に明治以後,“同じということ”を前提にして社会文化が創られてきたことによるものであろう.生活面で様々な多様性が生じてきたと言われているにも拘らず,日本人以外の人々から日本人を見れば,肉体的にも,精神的にも同様で,均一的に感じられるのではなかろうか.多くの日本人は似た風貌であり,集団として行動することなども良い例と言えよう.
しかし,日本人の内部には人間であるからして限りない欲望が個々には存在していることは当然でありながら,他人と自らを比較した時,その同一性のもとに妬み,僻みという感情が優先することも多い.一方,日本人の精神的教育では徳を大切にし,誇りを持ち,恥を知り,潔く行動することが示されてきたことも事実である.
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