特集 —ある日突然,電カルが止まった—どうする,病院のサイバーセキュリティ
医療機関におけるサイバーセキュリティ対策
松山 征嗣
1
1トレンドマイクロ株式会社 エンタープライズ営業本部 西日本営業部
キーワード:
サイバーセキュリティ対策
,
セキュリティリスク
,
サイバー攻撃
,
医療+セキュリティ
,
ランサムウェア
Keyword:
サイバーセキュリティ対策
,
セキュリティリスク
,
サイバー攻撃
,
医療+セキュリティ
,
ランサムウェア
pp.766-769
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541212007
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■医療機関におけるサイバー攻撃とセキュリティ対策の変遷
昨今,医療機関を襲うサイバー攻撃が大きなニュースとなっているが,実は今に始まったものではない.医療業界は,過去に経験した多くのインシデントを経て,その時々で基本的な対策の考え方をアップデートしながら現在のシステム運用に至っている.
1999(平成11)年4月,厚生省通知「診療録等の電子媒体による保存について」および「法令に保存義務が規定されている診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関するガイドライン」の発出により電子カルテシステムが解禁され,規模の大きな施設から導入が進んでいくこととなる.医療業界におけるICT活用の黎明期ともいえる2000年代には,医療システムは,一般的な情報システム同様にインターネット接続可能なLAN環境でクライアント,サーバーシステムが稼働し,電子カルテの端末でWebアクセスやメールアクセスができる状況であった.しかし,医療システムにおける情報セキュリティリスクやサイバー攻撃に対する認識が十分ではなかった当時,セキュリティ対策ソフトを導入していたもののアップデートが実施されないことも多く,メール閲覧やWebアクセスからマルウェアに感染するような事案が発生し,大学病院でシステム全体に影響する障害の発生も報道されている1).
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