時評
浮遊する臨床の価値軸
小野 重五郎
Jugoro ONO
pp.527
発行日 1987年6月1日
Published Date 1987/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209090
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「医療は知識でも技術でもなく,なによりも先ず委託である(H.Schipperges)」という指摘は,確かにいいところを衝いていると思う.
病むことは,なにもただちに医療に結びつくわけではない.診療を受ける,すなわち医療を委託する意志的な行為に媒介されてはじめて医療がある.他方で,医療行為は,この委託に,よりよく応えるという価値的・規範的な場での意志的な行為である.委託するものと,これを引き受けるものとの意志関係が医療にとって第一義である.
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