小特集 肝炎 その院内感染防止対策
院内各部門の対策のポイント
歯科部門における予防対策
岩坪 昤子
1
1京都第一赤十字病院歯科
pp.305-307
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207435
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京都第一赤十字病院における調査によれば,1972年より1979年の8年間に,入院加療した急性肝炎のうち,輸血,手術,飲酒,薬剤投与など,肝炎発症の誘因のあるものを除いた343例のうち,医療従事者は11%を占めている.また,医療従事者の肝炎でHBs抗原陽性率は67.6%であり,一般患者の31.7%に比して有意にB型肝炎が多いということである1).
なかでも歯科医療従事者はHBウイルスの感染に絶えずさらされていると言えよう.すなわち,歯科医は長時間,患者の口の中に手指を入れて治療を行う.したがって,唾液との接触時間は極めて長く,そのうえ,歯科治療において,観血的処置は日常的である.つまり,抜歯,歯肉弁手術,切開,口腔内腫瘍の摘出,唾石摘出,骨折の処置などの外科的処置のみならず,歯髄切断,抜髄,歯髄息肉の切除などの処置時には,必ず出血を伴う.
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