院内管理のレベル・アップ 薬剤
薬剤管理概論・3
在庫管理(理論編)
岩崎 由雄
1
1東京大学付属病院分院薬剤部
pp.64-65
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205987
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在庫管理を論ずるには,基本的にOR (operations research)の理論を理解する必要がある(ORについては「管理学」のベースとなるもので,本稿では割愛するが,ぜひとも必要なものである),と同時に数学的解析なくしては理論問題は解きえない.微分・積分などの基礎数学はもちろん,行列,線型代数,集合論群論などの一通りの理解が望まれる.そして応用数学としての推計学の導入は必須である.しかしここでは紙面に限りがあるのですべて別の機会に譲り,直接在庫管理に必要な推計学の応用を述べることにする.
病院において薬品・衛生材料などその都度購入して使用すれば在庫は常にゼロですむ.たとえその都度でなくとも,ある程度まとめて購入すれば,消費量と購入(発注・受注)調達期間が常にコンスタントであるなら,一皮購入したものが在庫ゼロになったとき,即時受注できるようにできるなら欠品という現象を起さず在庫管理ができる.しかも最も経済的である.しかしこれは特別の条件下で可能であって,通常は欠品によって病院における医療に支障をきたさないように,いわゆる予備的在庫(最低常備量)により薬品管理を行っているのが現状である.最低常備量は単に経済的問題のみでなく,在庫に要する倉庫面積,出納に要する人員(労働・作業)問題との相関がある.
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