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編集後記
編集者
pp.56
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200449
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近年,我が國の病院問題の進展はまことに目覺ましい。これは,一面時代の流れということもあろうが,我が國の病院關係者の不斷の努力によること勿論であつて,その他諸々の社會的事情もこれに拍車をかけ今日の活況を齎したものと云えよう。最近仄聞する處によると,我が國最初の病院管理學講座が東北大學に新設されるということだ。あれこれ,まことに御同慶に堪えない。併し病院は,病院當事者のみが,いかにやきもきした處で,それ丈でよくなるものではない。病院管理者を始め,凡ての職員がその氣になつて協力しなければ實效を上げることは難しい。又病院はこれを利用する民衆のものであるから,一般民衆の理解が極めて必要となつて來る。斯く考えて來ると,我が國の現状は果してどうであろうか。一般的に見て,我が國の民衆がこの程度病院というものについて理解をもつているか,甚だ疑わしい。のみならず,病院の職員の中でも,直接に病院の實務經營に携わつていない人々,例えば醫局員,技術員,その他下部組織の人々についてみると,或程度の理解乃至漠然たる認識はもつてはいるものの,未だ多分に批判的であつたり,白眼視的な態度に在る向が皆無とは云えない實情にある。吾々病院人は,今日迄兎に角自らの勉強に汲々として來た感が深い。將來に於ても更に研究すべき分野は無限に殘つているけれども,その努力をより效果あらしめる爲には,他に向つての教育指導に眼を轉じてみる必要はないであろうか。
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