泌尿器科圖譜・12
長らく血尿を缺いた腎盂乳頭腫/珊瑚樹状結石の一例
三浦 俊夫
1
1慶大
pp.363-364
発行日 1952年8月1日
Published Date 1952/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200767
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57歳男子。會社員。尿線が力が弱く,殊に夕食後に尿が出にくいとて外來を訪れた。診ると,遺殘尿290ccと小鷄卵大の前立腺腫とを證明したので,入院を命じ,諸檢査を行うと,右尿管口附近の小乳頭腫と,第1圖に示す如き,右腎盂に於ける著明な陰影缺損とが認められたが,現在は勿論,既往に於ても肉眼的の血尿は,全く之を缺き,又右腎部疼痛等もなく,顯微鏡的に僅かに赤血球を證するのみで,この爲患者は右腎手術を肯せず,爲に止むなく,膀胱乳頭腫の電氣凝固術と,Millin術式による後恥骨前立腺摘出とを行い,若し肉眼的血尿あらば直ちに來院することを確く約せしめて退院した。すると果然,登山を誘因として,突然強度の出血を見,直ちに再入院した。初診以後實に9箇月目である。しかもピエログラフイー所見は初診時と同樣であった。 "長らく"血尿を缺いたと題する所以である。摘出腎は第2圖の如く,5.3×10.0×4.0cm,117g
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