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医療の質向上・患者安全の観点から、医師の長時間労働やバーンアウトが問題視されている。医療者が良質なパフォーマンスを発揮するため「医療者自身のウェルネス/ウェルビーイング」が注目されるようになった。まず、ウェルネスは「毎日をよりよく生きるための健康維持・増進に向けた生活態度全般」を指し、身体的・精神的な健康を中心として健康を包括的にとらえた概念である。一方、ウェルビーイングは、ウェルネスを包含するさらに大きな概念であり、周囲との良好な関係性や仕事に対する満足感、仕事以外の生活の充実など「社会的に良好な状態」を含んでいる。
医療現場では、2020年以降のコロナ禍で、逼迫する医療体制の中、仕事にストレスを感じる医療者が増加し、体調不良やバーンアウトによる休職・離職は増加した。医療現場における労務管理の脆弱性が浮き彫りとなり、組織として労働者である医療者のウェルネス/ウェルビーイングを重視した取り組みを行うことが、いま多くの医療機関で喫緊の課題となっている。
2024年4月からは働き方改革の一環として、医師の時間外労働の上限規制が適用開始となり、長年、長時間労働を是としていた医療界にもメスが入ることとなった。また、SDGsに掲げられたDiversity、Equity & Inclusion推進の中、病や障がいを持つ人も多様な働き方で組織に貢献できるような発想の転換が求められている。しかし、組織や個人に深く根付いた働き方に関する価値観や慣習は容易に変えられるものでもなく、混乱やコンフリクトが起きることは予想に難くない。
そこで本特集は、医療者自身が心身ともに健康で生き生きと働きながら、さまざまな取り組みを行うことで、患者や地域住民の健康、そして、組織の安定的な運営や活性化につながることを目指すものである。
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