#総合診療
#書評:患者の意思決定にどう関わるか?—ロジックの統合と実践のための技法
秋山 美紀
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1慶應義塾大学 環境情報学部/医学部、医学部大学院 健康マネジメント研究科
pp.592
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204808
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「膵臓のがんが、肝臓のあちこちに転移してます」。今年7月、都内のがん専門病院で、母が宣告を受けた。説明を聞いた母の口から最初に出てきた言葉は、「先生、今年パスポートを10年更新したばかりなんですけど…」だった。説明した医師も、隣にいた私も意表を突かれ、しばしの沈黙となった。
著者の尾藤誠司氏は、ロック魂をもった総合診療医であり、臨床現場の疑問に挑戦し続けるソリッドな研究者でもある。諸科学横断的な視座から探求し続けてきた研究テーマは、臨床における「意思決定」(医師決定ではなく意思決定)である。尾藤氏は約15年前に『医師アタマ—医師と患者はなぜすれ違うのか?』(医学書院、2007)を出版し、誤ったエビデンス至上主義がはびこりつつあった医学界へ一石を投じた。その数年後には、一般向けに『「医師アタマ」との付き合い方—患者と医者はわかりあえるか』(中公新書クラレ、2010)という新書を出した。帯に「医師の取扱説明書」とあるとおり、患者・市民が医師の思考パターンを理解し、良好な関係を築けるような知恵が詰まったわかりやすい書籍だった。
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