#総合診療
#書評:感染対策60のQ&A
山田 和範
1,2
1中村記念病院薬剤部
2北海道科学大・薬学
pp.317
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204727
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自身と現場のレベルアップに生かせる本
コロナ禍を経て、すべての医療従事者は以前にも増して、正しい知識に基づいた感染対策を実践することを求められるようになった。得てして、施設の感染対策では、現場と管理側スタッフの行動が乖離していることがある。真面目な管理スタッフほど無意識に正論を振りかざし、現場スタッフは「感染は現場で起きているんだ!」と言いたい気持ちをこらえ、独自のルールを運用してささやかな抵抗をしていたりする。両者がめざすゴールは同じで、「感染から患者さんと医療スタッフを守りたい」はずなのだが…。そして、この小さな綻びを突いて、感染症やアウトブイレクが発生したりする。このような「現場と管理側スタッフとの行動の乖離」は、突き詰めれば両者の視点がズレていることが原因である。このズレを解消する糸口の1つとなるのが本書である。
一般的にハウトゥ本の記載は、最新の充実した施設が前提となっていることが多く、そうではない(経年が目立ち設備面でも恵まれていない)施設では、「そこまでできないなぁ」と諦めがちである。しかし本書は、充実した環境での対応のみならず、現在のセッティングでできることにも言及しており、どんな施設・環境であっても感染対策に取り組むうえでの羅針盤になる。そして、押さえるべきポイントはしっかりと押さえられており、妥協がない部分は小気味よい。
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