#総合診療
#書評:—『medicina』Vol.58 No.4 2021年増刊号—救急診療 好手と悪手
仲田 和正
1
1西伊豆健育会病院
pp.761
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203241
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書の冒頭の「脳梗塞mimicsを見逃さない!」(p.14〜18)を読んで、あまりの面白さに引き込まれ、一気にすべて読了してしまいました。通常、GCS(Glasgow Coma Scale)のE(開眼)とV(最良言語反応)は「E1V1」「E1V2」のように同じくらいの数値のはずであり、Eが良いのにVがガクンと悪かったらそれは「失語」だというのです。EとVが同じくらいの数字だということには、今まで気がつきませんでした。また、「脳梗塞患者の収縮期血圧は140mmHg以上が多く、低かったら違和感をもち大動脈解離(右内頸動脈が障害されやすいので左麻痺になる)の可能性を考えよ」というのも、真のクリニカルパールです。
ほかにも、「急性膵炎」の項(p.160〜164)で紹介されている「高山の圧痛点」(剣状突起とへそを結ぶ中点から左側にある点を正中へ押した時の圧痛)や「Mallet-Guy徴候」(右側臥位にして膵臓以外の臓器を右側腹部に移動させ、心窩部から左上腹部を触診して圧痛をみる)についても全く知りませんでした。「急性腎障害」の項(p.190〜193)では、尿管結石が尿管膀胱移行部にある時、カラードプラを膀胱越しに当てると「twinkle sign」が見られることが紹介されています。これは、ザラザラした物質の場合、石の後方が虹色に輝くというものです。今まで尿管結石では水腎症しか確認しておらず、結石にカラードプラを当てるなんて思いつきませんでした。また、カラードプラでは、「ureterovesical sign」(尿が尿管から膀胱に出てくるジェット)も確認できます。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.