連載 皮膚病の現状と未来・6
学会そして研究会
川島 真
1
1東京女子医科大学皮膚科
pp.1009
発行日 1992年11月1日
Published Date 1992/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900757
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医学の細分化傾向は,皮膚科学の分野にも着実に現れている.皮膚疾患ごとの学会,研究会が催され,開催日が重なることも稀なことではなくなってきた.それぞれの疾患についてスペシャリストが集まり,十分に議論を尽くすことは意義深いことであり,そこに細分化の意味もある.しかし,いずれの学会,研究会も巨大化する傾向にあり,当初の趣旨とはやや離れてしまう流れになってきていろように感じる.日本皮膚科学会会員数の増大がもたらす結果であるから,喜ばしいことではあるが,学会,研究会の質を考えると必ずしも手放しで喜んではいられないであろう.
これだけ発表の機会が増えると,ほぼ同一の内容を繰り返し聴くこともでてくる.何度聴いても新たな印象を受ける発表もあるが,スライドはもちろん原稿も全く同じではないかと思われる報告もある.別の会場の演題も聴きたいのであるが,その前後の演題に興味がある場合にはしかたなくお付き合いせざるをえない場合もでてくる.プログラムの編成はもちろん十分に練られたものであろうが,複数の会場での同時進行が避けられない演題数が集まる以上,万人を満足させる編成は無理である.また,討論に十分な時間を割くことも難しく,不満が残ることもある.
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