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特集 最新の漢方診療
めまいに対する漢方治療
Chinese herbal therapy(Kampo)for vertigo and related diseases
鈴木 康弘
1
,
角田 篤信
1
Yasuhiro Suzuki
1
1東京医科歯科大学医学部耳鼻咽喉科
pp.273-278
発行日 2012年4月20日
Published Date 2012/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102107
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Ⅰ はじめに
漢方治療は,1976年に保険適応となってから一般臨床でも幅広く用いられている。しかし,その治療効果に対する臨床的検討が乏しい点,気血水などの東洋医学的な解釈が難しいといった点から,実地臨床で使用することに躊躇してしまう医師もいるのではと思われる。そのため,これまでの漢方治療は,西洋薬が有効ではなかった症例に対しての補助的治療手段という面をもっていた感がある。実際,第一選択としての西洋薬を投与した症例で,無効だったものに対して漢方治療を行い,その有効性を報告した文献が散見される1,2)。
しかし近年になり,医学部での必須講義項目として,東洋医学を据える大学が大部分になってきているという状況もあり,今後臨床現場において,漢方治療も西洋医学と同等の重要性をもってくることが容易に推測できる。実際本誌を始め,多くの雑誌で漢方治療が取り上げられている3~6)。
本稿ではこういった状況を踏まえて,最新の漢方治療について,めまいに対して用いられる漢方薬を列挙するとともに,自家の経験や諸家の報告も取り入れながら,実際の臨床現場に応用しやすいような内容になるように解説していきたい。こんな主訴の人にはこんな漢方がいいのではと思えるように,本稿がその第一歩を担えたら幸いである。
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