産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
マイクロサージャリーにおけるディスポーザブルクリップの使用
澤田 富夫
1
,
門脇 恵
1
1藤田保健衛生大学
pp.1425
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902311
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最近の体外受精は技術的進歩により妊娠率の上昇をみるが,未だ卵管通過障害症例において卵管手術を希望する例は多い.卵管手術は再疎通による機能回復の結果自然妊娠が望めること,一回の手術で繰り返し妊娠可能であること,また妊娠率も症例にもよるが体外受精より良好なことが,その長所として挙げられる.手術に適応となる症例のうち,特に卵管間質部・峡部・膨大部における閉塞は,端々吻合術を実施することによりその妊娠成績は20〜60%の報告がなされている.このうちでも卵管結紮術後の峡部—峡部端々吻合術の成績は極めて良好であり,本症例における当科のマイクロサージャリーの手技にっき簡単に解説する.
HSG(子宮卵管造影検査)により閉塞部位を確認した症例は全身麻酔下で開腹手術を行う.卵結後の閉塞は卵管を一見するだけで閉塞部位の範囲を確定することは容易であるが,内腔炎症等による結節状閉塞の場合は,閉塞部位の範囲は外からは一見して判断できにくいため,まず触診にて硬化結節状になっている部分までを切除する.この際マイクロ顕微鏡下もしくはルーペ下に鋭利なメスか,マイクロ剪刀を用いて切除するのが断端を縫合しやすくするコツである.卵管に対して直角に漿膜ごと切除した卵管断端の内腔が,拡大鏡下に確認できるまで切除範囲を少しずつ延長していく.
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