視座
最近の論文原稿をみて
天児 民和
1,2
1九州労災病院
2九州大学
pp.9
発行日 1977年1月25日
Published Date 1977/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905456
- 有料閲覧
- 文献概要
最近本誌に送つて来られる論文原稿は可なり多くなり受付けてから印刷公表になるのに10ヵ月〜1年を要する状況である.日本の整形外科学の研究者の増加と研究心の旺盛さを示すものとして慶賀すべきことと思う.しかし多くの論文の中には問題のあるものも少くない.
読者の中には外国雑誌に投稿せられた経験のある方も多いと思うが,外国の有力な雑誌は論文の内容はもちろん,論文の形式等にも厳しい注文をつけ,編集方針に従わないものは遠慮なく拒絶返送して来る.日本でも今後は論文の内容,形式,図表の整備,引用文献の選択等改善を要することが多い.特に外国語の乱用は驚くべきものがある.国語に訳し難い言葉もあるので,その場合外国語をそのまま使用することもあるが,容易に訳し得る言葉を持ちながら外国語をそのまま使用しているのは日本だけの問題ではなかろうか.試みに米英やドイツの雑誌には外国語の氾乱したものはない.特にフランスでは国語の浄化を考え街頭の広告からも英語を追放しようとしている位である.われわれも日本語の論文では日本語をもつと大切に取扱うべきと思う.ことに滑稽に感ずるのはやたらに英語を使用し,しかもその意味を取り違えている時である.外国語に通じていることを誇示したいなら堂々と外国語で論文を発表すべきである.私は日本語をより美しくするためにも不必要な外国語の乱用を慎しむべきと思う.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.