視座
学会は人と人との出会いの場―特別講演に想う
戸山 芳昭
1
1慶應義塾大学医学部整形外科
pp.1161
発行日 1998年10月25日
Published Date 1998/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902539
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人生とは人と人との出会いの場と言われている.医者にとっては,学会が人との出会いの場になることがある.整形外科の学会でも,第一線で活躍してきた人の特別講演が企画されることも多い.中には,時々医学とは全く異なった分野の講演も行われ,その人の生き方,出会い,考え方,思想などが拝聴でき,医学という小さな社会の中で生きている私にとっては新鮮な気持ちで一杯になり嬉しいかぎりである.しかし,医学者が特別講演を行う場合,その多くは,その人が歩んできた研究・臨床歴が中心に語られる.素晴らしい研究結果,業績が述べられ,さすがにこの世界の第一人者は違うな,と尊敬する気持ちで一杯になる.自分もいずれはこのような特別講演を依頼される身になってみたい,などと考えたりもする.だが,今まで拝聴した特別講演の中で,ご自分の業績,研究結果とともに人生の生き方,考え方,出会いなどが一体になって語られた講演に出会った記憶は少ない.一般に,研究業績とともに人に感動を与えるような,人生を変えるほどの人との出会いなどが,その講演の中で述べられることは少ないようである.どうしても学会,研究会での特別講演は,一般の学会発表に近い形式になってしまう.
ところが,先日行われた第16回日本骨代謝学会での須田立雄教授(昭和大学歯学部生化学教室)の特別講演には極めて感動した.
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