Japanese
English
臨床経験
前腕における“troublesome lipoma”の1症例
“Troublesome Lipoma” of the Forearm: A Case Report
加藤 弘文
1
,
西島 直城
1
,
瀬戸 洋一
1
,
清水 宏之
1
,
山本 博史
1
,
山室 隆夫
1
,
樋口 佳代子
2
Hirofumi Katoh
1
1京都大学医学部整形外科学教室
2京都大学大学附属病院病理部
1Department of Orthopaedic Surgery, Faculty of Medicine, Kyoto University
キーワード:
橈骨神経麻痺
,
radial nerve palsy
,
脂肪腫
,
lipoma
,
軟部腫瘍
,
soft tissue tumor
Keyword:
橈骨神経麻痺
,
radial nerve palsy
,
脂肪腫
,
lipoma
,
軟部腫瘍
,
soft tissue tumor
pp.659-662
発行日 1991年5月25日
Published Date 1991/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900357
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抄録:前腕部の脂肪腫により橈骨神経深枝麻痺を来した症例に対し手術治療を行った.症例は47歳の女性で,45歳頃,前腕に腫脹感を自覚したが放置していたところ,47歳になり橈骨神経支配筋群に運動障害を認めた.手術所見はarcade of Frohse深部より発生した脂肪腫が橈骨神経深枝を圧迫していた.マイクロ下に摘出を行ったが,完全摘出は困難であった.脂肪腫の圧迫による神経麻痺は稀であり,前腕伸側近位部に生じた症例の報告は本邦では少ない.しかし,外国文献には約30例が認められ,実際には臨床上かなりの数が存在すると考えられる.
この脂肪腫は文献的には容易に摘出が可能とされているが,我々の経験では,橈骨神経深枝の分枝を巻き込んでおり,完全摘出は困難で,臨床的にtroublesome lipomaと言える.よって,この部位の腫脹を認めた場合,このことを念頭に置き,安易に外来手術を行うべきではない.また,麻痺発生後の期間が長いと成績が悪いため,早期診断が望まれる.
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