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高度化する今日の日本のがん医療には,質の高い医療提供体制が必要であり,その要となるのはがん専門医療従事者です.がん対策基本法の施行(平成19年4月)後,専門医を含むがん専門医療従事者の育成の必要性が社会や国に認識されるようになり,がん薬物療法専門医,放射線治療専門医,緩和医療専門医など学会が主導するがん治療に特化した専門医制度が確立しました.また,がん看護専門看護師やがん関連の認定看護師制度などの専門性の高いメディカルスタッフの育成体制もおおむね確立し,がん専門医療従事者の養成は少しずつ進んできました.しかし,いまだにがん専門医療従事者の配置は地域間格差や医療機関間格差が明らかで,高度化するがん医療と相まって医療水準の質の格差の原因となっています.このため,同法に掲げられる「がん医療の均てん化の促進」は,いまだに解決すべき重要な課題です.
本書は現場ですぐに役に立つマニュアルとして版を重ね,四半世紀が経ちました.この間,コンパクトながら系統的にまとめられた内容が好評で,主に腫瘍内科をめざす若い研修医やがん薬物療法専門医をめざすレジデントに愛読されてきました.がん専門医療者に求められる知識は,各臓器別,治療法別の知識にとどまらず,がんの疫学,臨床試験,がん薬物療法の基礎知識,集学的がん治療,がんゲノム医療,緩和医療など臨床腫瘍学の幅広い領域にわたります.今回の第9版は,前版までの読みやすくかつ系統的な内容・書式を継承しつつも,疫学データ,標準治療などを最新の内容にアップデートし,さらにがんゲノム医療を新たに章立てしたもので,腫瘍内科医はもとより,がん診療に携わる全ての医師,メディカルスタッフの入門書として大変有用だと思います.さらに若い医療者や学生を育成する指導者のための参考書としても役に立つはずです.
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