Japanese
English
短報
Risperidoneの投与により著明な体重増加を認めた1症例
A Case of Severe Weight Gain Induced by Risperidone
谷川 真道
1,2
,
西島 康一
1
,
鎌田 芳郎
1
,
片山 仁
1
,
宮崎 博史
1
,
加藤 敏
1
,
石黒 健夫
1
Masamichi TANIGAWA
1,2
,
Kouichi NISHIJIMA
1
,
Yoshiro KAMATA
1
,
Jin KATAYAMA
1
,
Hiroshi MIYAZAKI
1
,
Satoshi KATO
1
,
Takeo ISHIGURO
1
1自治医科大学精神医学教室
2現,田崎病院
1Department of Psychiatry, Jichi Medical School
2Tazaki Hospital
キーワード:
Drug induce
,
Risperidone
,
Weight gain
Keyword:
Drug induce
,
Risperidone
,
Weight gain
pp.777-779
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904587
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Risperidoneは,本邦においては,ドーパミンD2受容体拮抗作用とともに,強力なセロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有しており,臨床的には他の抗精神病薬と比較すると錐体外路系の副作用が非常に少なく3),精神分裂病の幻覚や妄想などの陽性症状ばかりではなく,自発性の低下,感情の平板化,引きこもりなど陰性症状にも効果を有する有用で安全な薬剤2,3,5)であるといわれている。しかし,副作用の1つとしてまれではあるが体重増加があり,このことはあまり知られていない。実際症例報告に関しても,海外において少数の報告1,2)しかなく重度の体重増加の報告は2例6)のみであり,本邦において現在のところ体重増加に関しての症例報告は1例もない。
今回我々は,軽度の精神発達遅滞者1名に,被注察感,作業所の指導作業員に対する被害関係念慮のほか自発性の低下,感情の平板化,引きこもりが認められた症例にrisperidone 2mg/日を投与したところ,精神症状の軽快化とともに重度な体重増加を認め,投与中止に伴い体重の増加がとまり減少傾向になった症例を経験した。しかも本症例は,遺伝性の肥満や摂食障害などの食事性の疾患は認められなかった。日常の食事摂取量に関してもほとんど変化がみられず,精神症状の軽快化とともに運動量は徐々にではあるが増えていった。治療薬も抗精神病薬ではrisperidoneのみの単剤投与であったことより,体重増加の原因としてrisperidoneによる薬剤性の体重増加が強く考えられたので,ここに報告する。
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