Japanese
English
短報
Primary progressive aphasiaの1臨床例
A Clinical Case of Primary Progressive Aphasia
日野 博昭
1
,
中野 光子
1
,
井関 栄三
1
,
小阪 憲司
1
Hiroaki HINO
1
,
Mitsuko NAKANO
1
,
Eizo ISEKI
1
,
Kenji KOSAKA
1
1横浜市立大学医学部精神医学教室
1Department of Psychiatry, Yokohama City University School of Medicine
キーワード:
Primary progressive aphasia
,
Dementia
,
Pick's disease
Keyword:
Primary progressive aphasia
,
Dementia
,
Pick's disease
pp.639-641
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904119
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初老期または老年期の変性性痴呆疾患であるAlzheimer病やPick病の経過中に失語を認めることは珍しくはないが,近年,失語症で発症し,緩徐進行性の経過をたどり,長期にわたり痴呆を呈さない症例が注目されている。Mesulam7)はこのような6症例をまとめて報告し,いずれも画像上左シルビウス裂周囲に限局性萎縮を有しており,slowly progressive aphasia without generalized dementia(後にprimary progressive aphasia8);PPA)の概念を提唱した。
その後,同様な症例が多数報告されるようになったが,長期経過中に痴呆化する例が多く,また剖検後の病理診断ではPick病やAlzheimer病などの変性性痴呆疾患であることが多いことから,現時点ではPPAは変性性痴呆疾患の1つの経過を示すものとの考え方が優勢となっている。今回我々は病初期より失語を呈したが,約5年間経過した現在も明らかな痴呆を認めない臨床例を経験したので,その症例を呈示し,若干の考察を加える。
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