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はじめに
近年,精神科分野における新薬が次々と導入されている。神経遮断薬では2001年に非定型抗精神病薬であるオランザピン,クエチアピンが海外から導入され,本邦で開発されたセロトニン・ドーパミン拮抗薬(SDA)であるペロスピロンが2001年に発売された。抗うつ薬では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルボキサミン(1999年),パロキセチン(2000年)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるミルナシプラン(1999年)が使用可能となった。睡眠導入薬ではω1受容体に選択的に結合する長時間作用型のクアゼパム(1999年)や短時間作用型のゾルピデム(2000年)が,抗てんかん薬のクロバザム(2000年)がそれぞれ海外より導入された。また,抗アルツハイマー薬として本邦で開発されたドネペジルがやや海外に遅れながらも本邦で1999年に使用可能となった。
薬物は経口投与された後,消化管から吸収され,血液に乗って体内を激しく動き回り,最終的に特定の臓器・組織に至り,薬物作用(薬効・薬理作用,副作用・毒性作用)が発揮される。その薬物の投与から作用発現に至るまでには,薬物の消化管からの吸収,血液から脂肪組織などへの分布と貯蔵,肝臓での代謝・排泄,腎臓からの排泄,作用部位への移行と貯留,さらに標的部位としてのレセプター(受容体)や酵素などとの相互作用など,さまざまな過程がある。それらの特徴は薬物ごとに異なっており,同じ薬剤であっても患者個人個人において異なっている。
そこで,本稿では新しい向精神薬・精神科関連薬における薬物動態学的パラメーターとそれに影響を与える因子について臨床薬理学的側面から論じる。
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