増刊号 図説「胃と腸」所見用語集2017
画像所見〔腸〕
keyboard sign
横溝 千尋
1
1大阪鉄道病院消化器内科
キーワード:
イレウス
Keyword:
イレウス
pp.639
発行日 2017年5月24日
Published Date 2017/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403200986
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定義
腸閉塞などにより拡張した小腸内で,Kerckring皺襞がピアノの鍵盤(keyboard)状に類似した像を呈する腹部超音波所見である(Fig. 1).一般にイレウスの超音波所見は拡張した腸管と本所見のほか,血行障害を伴わない単純性イレウスでは腸内容物の浮動(to and fro movement)を,血行障害を伴う絞扼性イレウスでは腸内容物の浮動や腸蠕動の減弱を早期から認め,時間経過とともに腸管壁肥厚(静脈閉塞)や壁菲薄化(動脈閉塞),Kerckring皺襞が不明瞭化して腹水が急速に増加する(Table 1).イレウスの診断における腹部超音波検査は感度,特異度ともに腹部単純X線検査よりも優れているが1),閉塞部位や原因,絞扼の有無などの診断はCT検査に劣り2),絞扼性イレウスの超音波診断は陽性的中率73%との報告がある3).よって,現状は造影剤アレルギーなどCT検査禁忌症例,妊娠症例や救急のベッドサイドで超音波検査が重用されている.
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