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編集後記
鬼島 宏
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1弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座
pp.447
発行日 2012年3月25日
Published Date 2012/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113143
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本特集「咽頭・頸部食道癌の鑑別診断」は,咽頭・頸部食道の観察・診断に自信を与えてくれる一冊となる企画である.上部消化管内視鏡検査で通過する領域とは言え,咽頭・頸部食道は,解剖学的に複雑な形態を呈することから,苦手意識がもたれがちである.これは内視鏡医のみならず,われわれ病理医も同様である.今回の特集を一読すると,食道疾患の観察・診断の延長として,咽頭・頸部食道疾患があることが理解できよう.「胃と腸」40巻9(2005年8月)号の特集テーマが「表在性の中・下部咽頭癌」であり,当時の最新動向が紹介されているが,改めて本号と読み比べると,この6年間余りの咽頭・頸部食道領域の診断学の飛躍的向上も実感していただけるはずである.
さて,各論文を振り返ってみよう.吉田による序説では,食道癌との類似性と偏り,早期癌・表在癌の定義など,咽頭・食道癌の課題が示されている.諸橋らの論文はこれらの課題に呼応して,咽頭では粘膜筋板を欠くなど咽頭から食道にかけての解剖学的・組織学特徴や差異を解説し,咽頭・食道癌の発育浸潤様式の特徴を提示している.
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