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編集後記
中沢 三郎
pp.1002
発行日 1978年7月25日
Published Date 1978/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107396
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慢性膵炎という言葉を口にする時,何ともいえないもどかしさを感ずる方が多いのではないかと思われます.それは,従来の慢性膵炎は完成されたもの,すなわち,病状でいえば比較的高度のものを指しており,内容に格別の問題もなかったのですが,最近のようにより軽度の膵障害を診断,治療しようということになると自他覚症状からも種々の検査成績からも,すっきりした解答が得られず,曖昧さが残り常に奥歯に物のはさまった気分になることによるものといえましょう.そこへもって来て,この頃ではERCPなるものが俄かに台頭して,軽症膵炎に言及したことから,これまで金城湯池を誇っていたP-S testとの間にある種の論争が起こり,各研究者の努力にも拘らず充分解決されず複雑化する様相さえ帯びて来ております.こういう状態をいつまでも続けていては困るのは結局,患者側ではないかと思われるわけですが,かかる時に本誌で特集を企画したのは誠に時宜を得たものであり,竹本先生のIntroductionは正鵠を射た,極めて適切な内容であるといえましょう.本特集号は正に慢性膵炎はこれでよいのかという問いに答え,現状認識と今後の研究への道標として意義深いものであり,皆様方の参考になれば幸であります.
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