話題
ワクチンの安全性は守られているか—予研談話会・第20回シンポジウムから
黒川 正身
1
1予研
pp.337
発行日 1968年3月10日
Published Date 1968/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202127
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周知のように,現在のワクチンは,注意深く製造され国際的に認められた各種の試験をパスした製品でも,まつたく人体に無害とはいえない。ところで,この注意深く製造されるといつても,具体的にどんな問題があるのか,各種の試験で安全性のチェックが行なわれるが,その試験はこのチェックでどの程度の役割をはたしているのかといつた問題が系統的に論じられたことはなかつた。
主題のシンポジウムは,—laboratory testと人での安全性を中心として—という副題をつけて昨年11月に予研で開かれたものであるが,現在のワクチンの障害作用の色合いもその程度もワクチンの種類ごとに異なるし,試験の方法も種類が多く,安全性のチェックで占める重要性の程度もまちまちなので,とても1回ですべてが論じきれるといつたものでないことはいうまでもない。ただごく簡単に,まとめてみると,ワクチンの安全性は,多くの人が誤つて考えているのとちがつて,予研で行なわれている国家検定だけで保証しきれるものではなく,原料の吟味から,製造の各段階であらゆる配慮が必要であること,さらに,これは特に臨床家の範囲にはいるが,その接種から,接種後の看護や監視の面でも,取扱いが粗漏であつたり,注射しつぱなしでは危険を伴う可能性のあるということなどが強調された。
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