シンポジウム 第17期日本学術会議環境保健学研連主催公開シンポジウム
「内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の影響はどこまでわかっているか」
生態への影響・1
堀口 敏宏
1
1国立環境研究所化学環境部
pp.760-766
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902175
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私に与えられたテーマは環境ホルモンの生態影響であるが,私が実際に取り組んできた巻貝にしぼって述べる.インポセックスというのはもともと存在しなかった言葉であり,スミスという人が,1971年に造った言葉である.その定義は,簡単にいえば「雌の巻貝に雄の生殖器官が形成される現象およびそのような巻き貝」ということである.私どもは1990年から調査をしてきた.何種類ぐらいの日本の巻貝にインポセックスという現象が起きているかを検討してきたところ,これまでに38種類の巻貝で確認されたが,それ以外にもまだあるかもしれない.本稿では,この中でイボニシを中心としてバイについても一部紹介したい.
イボニシは,長さが2〜3cmの小型の巻貝で,北海道から,九州まで広く分布しているフジツボやムラサキガイなどを食する肉食性の巻貝で,岩場の潮間帯と呼ばれる場所でわりと簡単に見つけられるものである.
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