エスキュレピウスの杖
(23)質問にお答えして—国連・ホテル
麦谷 眞里
1
Masato MUGITANI
1
1WHO本部
pp.120-121
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900523
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1.いきなり本質
もっと,国連専門機関たるWHOの内部のことについて書け,というご要望があった.もっともなことである.「エスキュレピウスの杖」と題すからには,WHOや保健医療そのもののことを中心に書くべきであって,私の連載は,どうも余計なことが多すぎるきらいがある.ただ,こうした余計なことの方が面白いという読者もいらっしゃって,気の小さい私としては,これでも配分に苦慮しているのである.したがって,すでにお気付きのことと思うが,全編これ余計なことに終始した回はない.そこで最初の要望に戻ると,WHOの内部のことをあれこれ書くのは,実は,公務員の守秘義務と相まってなかなか難しい.細かいことを一切省いて本質だけを非常に象徴的に言わせていただければ,私自身には,もう国連や国際機関などに対する夢や幻想はない.国連や国際機関は,それ自体では,何の能力も発揮し得ない.加盟各国が活用してこそ組織として機能するのである.「国連中心の世界秩序の構築」というのは,「国連(を利用したわが国)中心の世界秩序の構築」と読み代えるべきである.誤解を承知で言うなら,国連や国際機関(正確には,その組織)が自発的に動くことはあり得ない.
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