特集 食中毒の新たな課題
扉
pp.459
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208678
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わが国の食中毒は,従来は黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌,腸炎ビブリオといった,細菌を原因とするものが主流でした.しかし,近年はこれらが激減し,発生件数では細菌であるカンピロバクターが急増し,また,患者数ではウイルスであるノロウイルスが第一位を占めるようになっています.さらに,腸管出血性大腸菌による食中毒の散発発生が続いており,また,その集団発生も起こっています.
腸管出血性大腸菌による食中毒の原因食品も,野菜の浅漬けや馬刺しなど多岐にわたってきています.加えて,従来は知られていなかった微生物や,食中毒の起因菌とは思われていなかった微生物による食中毒,例えば,2003年に発見された腸内細菌科菌群に属するエシェリキア・アルバーティーによる集団食中毒や,A群溶血性レンサ球菌による集団食中毒が発生しています.このように,近年の食中毒は従来と異なった様相を示してきています.
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