特集 健康科学
学校における健康科学
高野 陽
1
Akira TAKANO
1
1国立公衆衛生院母性小児衛生学部
pp.43-47
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207406
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■はじめに
人は,すべて,健康で幸福な生活を営む権利を有している.この権利を,個々の人,または,集団としての人が如何に獲得していくか,そのために,何をすべきかを追究する学問や実践として,健康科学の領域があるものと筆者は解釈している.それを十分に有効なものとして活用できるためには,その対象となる「人」と,その人が生活している「場」を適切に把握する必要があり,さらに,その「人」や「場」における保健的意義を認識しておかなければならない.
学校における健康科学を論ずる際,その対象は,いうまでもなく,学齢期や思春期の小児(以下,児童生徒と総称する)であること,その対象が学校という特定の場で生活していることを念頭におく必要があるが,この対象は,突如として湧き出てきたわけではない.生後,乳児期や幼児期を経て学齢期に達したわけであり,さらに,成年期から老年期へと人生は続いており,決して,その時期だけの断片ではない.また,対象の生活は,学校という特定の場に限定されたものではなく,家庭及び地域にも広がっていることも認識しておかなければならない.
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