発言あり
夏やせ
pp.469-471
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206730
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"夏やせ"今昔
暑くなってくると,普通の健康体なら多少はやせるものだ,皮下脂肪の厚みを調節して,自然の気候に適応していくのは,生理機能の正常な働きである.夏と冬で2〜3kgの差があっても一向に差し支えない.問題はその程度で,限界をこえてやせると,夏マケ,夏バテということになる.成書によるとその防止策は①暑さに順応すること②適当な水分,塩分の補給③タンパク質,脂肪に富む食品,ビタミン類の補給④十分な休養,睡眠,特に昼寝の奨励などが挙げられている.
ところで,手元の歳時記から"夏痩せ"を季語とする句を拾ってみると,"夏痩せて腕は金棒より重し","夏痩せの大き目の似て兄おとと","おもかげやその夏痩せの髪ゆたか"などというのがみえる.その昔,日本人の食生活が一汁一菜,質素をもって旨とした頃の夏やせのイメージには,これらの句からうかがわれる"げっそり"という感じがあった.もともと栄養状態のよくない体に,わが国特有の高温・多湿はひどくこたえたものである.
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