特集 国際衛生
海の検疫(1)—運輸の大型化・スピードアップに対処
岩田 昌一
1
1厚生省横浜検疫所
pp.218-220
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203856
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はじめに
わが国の検疫制度も本年で90周年を迎えようとしている.公衆衛生活動または衛生行政としては,最も古いものの1つである.江戸時代の末,鎖国から開国へと移行し,開港に出入する外航船舶もしだいに増加し,これに伴って明治以前のみならず,明治時代ことに前半において,コレラがしばしば大流行し,数万人が死亡するという事態,さらにペスト発生もこれに加わるというケースがくりかえされたのである.
そこで,政府は明治12年7月14日,わが国最初の検疫規則を公布するとともに,外来伝染病特にコレラの侵入防止業務を開始したのである(この日は"検疫記念日"とされている).爾来,外来伝染病の国内発生も遂次減少した.その後も侵入防止に備えて検疫体制は強化され,今日に至っているが,大正15年国際伝染病の侵入防止を目的とする国際衛生条約に加入し,国際的に万全の態勢がとられたのである.
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