特集 鼠族昆蟲
鼠の習性と生態
佐々 学
1,2
1東大
2傳研
pp.265-268
発行日 1950年5月15日
Published Date 1950/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200637
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鼠のことは昔からよく調べられているようで意外に分つていないことが多い。殊に鼠の習性や生態についての色々な定説なもるのが案外に非科学的な憶測にすぎないものが多いのである。あまりにも我々に身近い問題で,本氣になつて学問の対象にした人が極めて少なかつたようである。
鼠に関しては私も本誌の4雀1号に「鼠の衞生的檢査法」(1)と題して文献をつけてかなり委しく述べたし,また中央公論社の「自然」(2)1948年10月,11月号に「ネズミ」と題して全般的な解説を試みた。この両誌ともなお出版元には残部もあると思うので,今回の限られた紙面にはもう一歩進んだ考え方をのべてみたいと思う。特に鼠の生態についてJohns Hopkins大学のD.E.Davis一派が哺乳類生態学の專門家としての本格的な調査を行い,幾つかの注目すべき論文を出しているのであつて,私も在米中その研究の一班に參加していたので,その一部も紹介したい。
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