特集 公衆衛生の原点を学ぶ―イギリスの挑戦
扉
pp.5
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102923
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近代社会の公衆衛生を確立したイギリスでは,第2次世界大戦後,すべての保健医療資源を国営医療制度(NHS)の建設に投入したために公衆衛生体制が弱体化することになりました.しかし,NHS改革が一段落した1980年代に入り,公衆衛生医師をはじめとした専門職の教育訓練システムを整えるなど,公衆衛生制度の再構築に取り組みはじめました.その後健康保護にかかわる「ヘルスプロテクションエージェンシー」の創設(2004)にまで至りました.ヘルスプロテクションエージェンシーの創設は移行措置であり,最終の目的は2013年に創設された「パブリックヘルス・イングランド」であったようです.
イギリスの新しい公衆衛生体制の特徴は,NHSから独立した組織体制としたこと,健康づくりや健康支援活動の主体を「地方自治体」としたこと,全国レベルの公衆衛生専門組織体制を保健省と一体化させたことにあります.イギリスが地方自治体を公衆衛生体制の主役に位置づけたのは実に40年ぶりのことであります.
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