特集 血液事業のトピックス―身近な献血からiPS細胞の活用まで
扉
pp.607
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102802
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東京オリンピックを半年後に控えた1964年3月のライシャワー事件を契機として,売血制度を背景とした輸血後肝炎が社会問題となりました.「黄色い血」追放キャンペーンが盛んとなり,同年8月には,売血をやめてすべての輸血用血液を献血によって確保する体制を確立することが閣議決定されました.8月21日は,この決定日を記念して「献血の日」と定められています.
売血から献血制度への舵きりの理由となった輸血後肝炎は,その後に肝がんの主要原因と位置づけられ,今でも公衆衛生上の大きな課題となっています.ウイルス性肝炎以外にも,HIV感染や牛海綿状脳症(BSE)などとの関連で血液事業の安全性の確保が求められ,献血時の問診の見直しや検査体制の整備が図られました.その結果,わが国で供給される血液製剤は世界的に最も安全なものとなっています.さらに最近は,献血に依存しない方法として,iPS細胞を活用した血液製剤(iPS細胞由来血小板など)の開発と臨床応用に期待が寄せられています.
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