特集 基礎から学ぶ食品衛生
扉
pp.357
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102100
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食品の安全は人の健康にとっての根幹です.過去には食品の安全が守られなかったことで様々な健康被害が起こっています.公害でもある水俣病やイタイイタイ病も食品が原因となった悲惨な例であり,カネミ油症もその1つです.このような大規模な例ではなく,日常的に起こっている微生物や自然毒によるいわゆる食中毒は,食品による健康被害の身近な例と言えます.
しかし,食品の安全については,巷には誤った情報が流布し,多くの人が信じているように思われます.「着色料や保存料といった食品添加物はからだにとても悪く,無添加が良い」,「添加物は天然のものは安全だが,人工のものは危険」,「農薬を使用した野菜や果物は農薬まみれ」,「遺伝子組換え食品はとても危険」といった類の情報です.これらの情報については,公衆衛生従事者の中にも信じている人が多いのではないでしょうか.しかし,添加物や残留農薬,遺伝子組み換え食品の安全性については科学的に検証が行われている点,自然毒のように天然物にも危険なものが存在する点等を考慮すると,上述した情報が迷信のようなものであることは明らかです.
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