特集 子どもを護る―社会的不利への介入と支援
扉
pp.173
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102045
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
わが国の公衆衛生活動,保健師活動の大きな役割として,貧困社会の中における子どもの保護に関わる活動があったように思われます.一見すると豊かな社会となったことにより,その原点が忘れられてきているように思います.現在,社会の中で子どもの貧困問題,子どもの社会的不利の現実が見えにくくなってきていますが,保健師の皆様方は母子保健活動を通して,厳しい現実にある子どもを目にしているのではないでしょうか.
近年,社会問題として子どもの養育拒否,虐待だけでなく,無保険問題,教育権を脅かす問題が報道されることが多くなってきています.人間の人生のスタート時点で,個人の努力を超えた「社会的不利」に晒されることは決して望ましい社会とは言えないのではないでしょうか.近年,子ども手当て,高校授業料無償化など,子どもの厳しい現実を少しでも緩和しようとした政策が,ようやく行われるようになってきています.しかし,現金給付,法律や制度をつくるだけでは,解消されるものではないように思われます.子どもに向き合う社会,つまり子どもと向かい合う組織と人々の存在が多くなることが,何よりも大切ではないかと考えます.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.