特集 薬物乱用
扉
pp.801
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101662
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力士や学生が大麻の所持で,さらに芸能人が覚醒剤使用により逮捕され,世界的な大スターのマイケルジャクソンも鎮静剤により薬物死したなどのニュースが報道されました.HIV感染症の流行,結核の再興の背後にも薬物乱用問題があることが知られています.わが国はこれまで欧米諸国と比べて薬物問題は小さい国とされてきましたが,本当にそうなのでしょうか.今一度考えてみる必要があります.
わが国では薬物乱用の問題に対しては,犯罪や治安の側面からの法規制に依存しています.現状は,ダルクなどの当事者の立場に立つ民間支援団体による,懸命な薬物乱用防止教育や薬物依存者に対する支援活動に負っています.健康問題としての取り組み,また薬物乱用者に対する社会復帰支援や再発予防対策,保健医療体制の整備は,十分とは言えないのではないでしょうか.薬物乱用者に対する社会政策の構築の上では,様々な法制度上の議論があります.現状のままで放置していると,社会的に排除される薬物乱用者が多くなっていき,問題が深刻化するものと思われます.
本特集では,薬物乱用について保健行政,精神医学,法学・司法,患者支援の立場から,わが国の薬物乱用の現状と課題を紹介していただき,皆さんとともに多角的な視点から,薬物乱用の課題について考えたいと思います.
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