書評
《ジェネラリストBOOKS》診療ハック—知って得する臨床スキル125
山中 克郎
1
1諏訪中央病院
pp.1001
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110530091001
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臨床現場に「気づき」と「応用力」をもたらす本
本書を読み地元の公共温泉につかりながら,こんなことを考えた.初診外来で最初に「具合が悪いのはいつからですか」と聞き,いつまで元気だったかを確認して急性発症なのか慢性疾患なのかを判断することは重要である.「映像化」ができるくらい詳細に病歴を聴取することが大切だということも以前,指導医から聞き実践しようと心掛けている.これら「知っていると便利な臨床の智慧」を教えてもらうと診療がアップグレードする.
しかしながら,医療はサイエンス(知識や技術)だけでなく,アート(他人への優しさ)が大切である.印象的なのは,本書の「診察前のスキル」で取り上げられた,「名前を呼ぶ」という行為である.患者だけでなく,同僚スタッフに対しても名前を呼ぶという行動が,医療チーム全体の信頼関係を構築し,結果として診療の質を高めるという主張は,アートとしての医療の視点をわれわれに投げかける.

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