特集 アディクション支援のフロントライン
インターネット依存に対する心理療法
三原 聡子
1
1独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
pp.255-261
発行日 2025年6月5日
Published Date 2025/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51070255
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Ⅰ はじめに
2011年に久里浜医療センターがインターネット依存専門治療外来を開設してから約14年が経とうとしている。この間,患者さんの依存の様相や,依存対象,年齢層などに変化が見られた。例えば患者さんの依存の様相として,外来開設当初は「ネトゲ廃人」と呼ばれるような,学校や職場はおろか,トイレにも行けずにパソコンにはりついてゲームに興じるスタイルの患者さんが多く見られた。この14年間で,スマホでプレイできるゲームが高度なものになり,動画の配信が増加し,何時間も何日間もパソコンにむかってゲームだけをし続けるゲーム依存症者の割合は減った。代わりに,上手な人がゲームをプレイする動画を見ながら,音楽をかけつつ,Discordで友達と話しながら自分でもゲームをする,といったスタイルが増えている。年齢層では,当院ではコロナ禍より小学生の受診が増え,ゲーム・インターネット依存症者の低年齢化を感じている。そのような変化の中でも,ゲーム・インターネット依存の様相として,開設当初から変わらないことと,変わってきたことがあるように思う。開設当初から変わらないと思うことは,依存にいたる背景である。大きく変わったことは,低年齢化と依存対象である。本稿ではこれらの点と,インターネット依存の心理療法の関わりについて,詳細に述べたいと思う。
なお,本稿では,ICD-11に収載されたGaming Disorderを指す場合には,ゲーム障害,広くゲーム以外にもインターネットのサービスへの依存を指す場合にはインターネット依存とする。

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