特集 COVID-19の総括
治療 現在におけるCOVID-19治療のポイント
COVID-19の治療薬の使い分け
芦澤 信之
1
,
髙園 貴弘
1
1長崎大学病院呼吸器内科
キーワード:
▶COVID-19に対する抗ウイルス薬として,モルヌピラビル,ニルマトレルビル/リトナビル,エンシトレルビル,レムデシビルの4剤が使用されている(2025年10月現在).
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▶患者の重症度,リスク因子の有無,発症からの経過日数などに応じて,抗ウイルス薬は使い分けられる.
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▶モルヌピラビルとエンシトレルビルは妊婦には使用できない.また,ニルマトレルビル/リトナビルとエンシトレルビルは,腎障害を有する患者において減量の必要性や使用制限があり,他の薬剤との併用についても確認が必要である.
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▶中等症Ⅱ以上の患者で使用できる抗ウイルス薬はレムデシビルに限られる.
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▶中和抗体薬は,オミクロン株流行期以降,ウイルス変異による中和活性の低下により使用されていない(2025年10月現在).
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▶COVID-19は,依然として高齢者における死亡リスクが高く,若年者やリスク因子がない患者でも強い症状を呈することが少なくない.
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▶抗ウイルス薬は高額な薬剤費が処方の障壁となっている.
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▶各薬剤の特性について患者に十分に情報提供し,患者の希望を踏まえて処方を検討することが重要である.
Keyword:
▶COVID-19に対する抗ウイルス薬として,モルヌピラビル,ニルマトレルビル/リトナビル,エンシトレルビル,レムデシビルの4剤が使用されている(2025年10月現在).
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▶患者の重症度,リスク因子の有無,発症からの経過日数などに応じて,抗ウイルス薬は使い分けられる.
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▶モルヌピラビルとエンシトレルビルは妊婦には使用できない.また,ニルマトレルビル/リトナビルとエンシトレルビルは,腎障害を有する患者において減量の必要性や使用制限があり,他の薬剤との併用についても確認が必要である.
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▶中等症Ⅱ以上の患者で使用できる抗ウイルス薬はレムデシビルに限られる.
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▶中和抗体薬は,オミクロン株流行期以降,ウイルス変異による中和活性の低下により使用されていない(2025年10月現在).
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▶COVID-19は,依然として高齢者における死亡リスクが高く,若年者やリスク因子がない患者でも強い症状を呈することが少なくない.
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▶抗ウイルス薬は高額な薬剤費が処方の障壁となっている.
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▶各薬剤の特性について患者に十分に情報提供し,患者の希望を踏まえて処方を検討することが重要である.
pp.1870-1873
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.12_020
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はじめに
COVID-19治療薬は,患者の重症度やリスク因子の有無,発症からの経過日数などに応じて使い分けられる.本稿では,2025年10月現在,国内で使用可能な4種類の抗ウイルス薬を中心に,各薬剤の特徴と使い分けについて解説する.なお,日本感染症学会らにより「5学会による新型コロナウイルス感染症診療の指針」1)が公開されており,詳しくはそちらも参照されたい.

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