特集 COVID-19の総括
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COVID-19感染と腸内細菌叢
水谷 壮利
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1国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所検査診断技術研究部・エイズ研究センター
キーワード:
▶COVID-19患者は,日和見菌の増加と短鎖脂肪酸産生菌の減少を特徴とする腸内細菌叢の異常(dysbiosis)を示す.
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▶COVID-19患者のdysbiosisは,腸の恒常性障害と全身性炎症と関連し,腸内細菌による炭水化物,脂質,アミノ酸の代謝に影響を及ぼす.
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▶COVID-19後遺症(PACS)は,持続的なdysbiosisと関連する可能性がある.
Keyword:
▶COVID-19患者は,日和見菌の増加と短鎖脂肪酸産生菌の減少を特徴とする腸内細菌叢の異常(dysbiosis)を示す.
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▶COVID-19患者のdysbiosisは,腸の恒常性障害と全身性炎症と関連し,腸内細菌による炭水化物,脂質,アミノ酸の代謝に影響を及ぼす.
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▶COVID-19後遺症(PACS)は,持続的なdysbiosisと関連する可能性がある.
pp.1866-1868
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.12_019
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はじめに
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は主に呼吸器系に感染するが,COVID-19の発症直後から腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が観察され,それは症状が回復後も数ヵ月以上持続することもある.dysbiosisは炎症との相関が示されており,その因果関係の理解はCOVID-19の病態の理解と制御に役立つものと考えられたが,さらなる知見拡充が必要である.また生活の質に影響を及ぼすCOVID-19後遺症post-acute COVID-19 syndrome(PACS)にもdysbiosisの関与が指摘されているが,便移植や整腸を軸とした介入に一定の効果が報告されている.本稿では,COVID-19と腸内細菌叢との関係についてこれまでの知見を総括する.

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