特集 COVID-19の総括
総説 基礎,臨床,および疫学的視点からみたCOVID-19の特殊性
公衆衛生的観点からみたCOVID-19
中島 一敏
1
1大東文化大学スポーツ・健康科学部健康科学科
キーワード:
▶2020~2022年の人口あたりのCOVID-19の累積感染者数は,日本と諸外国とは同程度であったが,日本の死者数,致死率はともに低かった.
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▶2020~2021年の流行レベルの高かった国では,3年間の人口あたりの累積死者数も多かった.
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▶COVID-19パンデミック発生初期の公衆衛生的介入により流行を抑制することは,健康被害の最小化に重要である.
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▶COVID-19パンデミック発生初期には,比較的少ない症例数で多数の死者が発生した.特に最初の流行波(第一波)の公衆衛生対策において,混乱が生じた英国や,政治問題化し国として統一した対策が徹底されなかった米国では多数の死者が生じた.
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▶医療のひっ迫防止は,パンデミックに対する公衆衛生上の重要な目標である.
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▶医療ひっ迫は,医療提供のキャパシティと医療ニーズとのアンバランスにより生じる.
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▶有限な医療資源を効果的・効率的に活用するためには,まん延防止を目的とするのではなく,適切な治療を提供することを最優先とするべきである.
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▶感染症危機のリスクガバナンスの3要素は,リスクアセスメント,リスクマネジメント,リスクコミュニケーションである.
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▶信頼関係の構築は,リスクコミュニケーションのカギである.
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▶差別偏見,誹謗中傷を許さない社会の構築が求められる.
Keyword:
▶2020~2022年の人口あたりのCOVID-19の累積感染者数は,日本と諸外国とは同程度であったが,日本の死者数,致死率はともに低かった.
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▶2020~2021年の流行レベルの高かった国では,3年間の人口あたりの累積死者数も多かった.
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▶COVID-19パンデミック発生初期の公衆衛生的介入により流行を抑制することは,健康被害の最小化に重要である.
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▶COVID-19パンデミック発生初期には,比較的少ない症例数で多数の死者が発生した.特に最初の流行波(第一波)の公衆衛生対策において,混乱が生じた英国や,政治問題化し国として統一した対策が徹底されなかった米国では多数の死者が生じた.
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▶医療のひっ迫防止は,パンデミックに対する公衆衛生上の重要な目標である.
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▶医療ひっ迫は,医療提供のキャパシティと医療ニーズとのアンバランスにより生じる.
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▶有限な医療資源を効果的・効率的に活用するためには,まん延防止を目的とするのではなく,適切な治療を提供することを最優先とするべきである.
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▶感染症危機のリスクガバナンスの3要素は,リスクアセスメント,リスクマネジメント,リスクコミュニケーションである.
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▶信頼関係の構築は,リスクコミュニケーションのカギである.
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▶差別偏見,誹謗中傷を許さない社会の構築が求められる.
pp.1806-1813
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.12_007
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日本と世界におけるCOVID-19の死者数
一人でも多くの命を救うことは公衆衛生の目標である.予防できる死亡は予防すべきである.100年に1度の災害といわれるCOVID-19パンデミックでは,2019年12月末の出現から2022年末までの3年の間に,世界で6億5,600万人の確定患者と660万人の死亡が,日本で2,900万人の確定患者と5万7千人の死亡が報告された.

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